昔々、あるところに一人の男がいた。
その男は、耕作する土地ももっていなく、しかも狩をしようにも大変下手で、これはもう生活していくためには誰か人にでも雇ってもらうしかないと、こうおもって旅に出た。
ある時、内陸の村に立ち寄った。
その村は塩が足りなくて大変苦しんでいた。
塩は生活必需品なので、非常に村人たちは困り果てていた。
その男は、気の毒だな、かわいそうだなと思ったが、何もすることが出来ずに、無念にもその村を去った。
しばらく旅を続けていると、今度は海沿いの村に行くことがあった。
その村の人は海沿いなので、塩はふんだんにあるが、米が不作。
米がなければ餓死してしまうので大変困っていた。
この男はその村の人なんとか助けたいと思って、ずっと悩んだ時にハッと思いついた。
そうだ、あっちの村には米がたくさんあった。
向こうは塩がなくて苦しんでいた。
あっちの米をこっちにもって来てもらい、こちらの塩をあちらに持って行ったら、お互いの人が助かるのではないかと、その男は思った。
そう思った男は、二つの村に掛け合って、流通させることを提案した。
そうしたところ、この二つの村の人みんなが幸せになった。
そして、その二つの村の架け橋になって尽力したその男も大変感謝され、得もした。
困ったことを、「なんとかしたい」と思わなかったらこのようなアイディアはそもそも出てこなかったのではないか。
人々の苦しみや悩みをなんとか出来ないか、そう考えることが出来たことが、まさに商売の原点。
相手の苦しみに鈍感である、また人を幸せにしたいという気持ちが全くないと言う人に商売は向いていない。
自利:自分の利益
他利:人を幸せにすること
自利利他:人が幸せになることが、そのまま自分が幸せになる事。