人生最悪を乗り切る思考法　〜タルムードシリーズ〜

ユダヤ人に伝わる物語　タルムード＝聖典　書物

ラバイ＝ユダヤ教の宗教的指導者

『あるラバイの最悪で最良の災難』

あるラバイが旅をしていました。

ラバイは犬と羊をつれ聖書を読むためのランプを携えていました。

一日歩き続け、陽がすっかり暮れてきたのでラバイはその夜泊まる場所を探しました。

ほどなくして粗末な納屋を見つけたのでそこで一夜を明かすことにしました。

寝る前にランプを灯して聖書を読もうとしていたところ、まだ残っていると思っていたランプのオイルが切れてしまい、灯りがフッと消えて真っ暗になってしまいました。

ラバイは仕方なく早めに寝ることにしました。

その夜は本当に悪いことが重なりました。

連れていた犬が毒虫に噛まれて死んでしまいました。

次に狼がやって来て羊も殺して食べてしまいました。

朝になってラバイは空腹のまま出発しました。

乳をくれていた頼りの羊はもういません、、、

ラバイが空腹のまま歩いて行くと、ある村の近くを通りかかりました。

ラバイはそこで「異様な気配」に気づきます。

物音せず、人影がまったくないのです。

よく見てみると、あちこちで村人が惨殺されていました。

前の晩に盗賊たちがやって来て、村を襲い、村人達を皆殺しにして金品を奪っていったことが分かりました。

ラバイは恐ろしさに打ち震えながら思いました。

もし、ランプが消えていなければ、私も盗賊に見つかっていたはずだ。

もし、犬が生きていたら、キャンキャン吠えてやはり盗賊に見つかっていたはずだ。

もし、羊が生きていたら騒いで音を立てていたに違いない。

ラバイは気が付きました。

全てを失っていたからこそ、自分は助かったのだと。

そこでラバイは深く悟りました。

どんなに災難がふりかかろうと人は希望を見失ってはいけない。

最悪なことが最良のことだと信じなければいけない。

今起きている悪いことは、もっと悪いことの防波堤。

希望を捨てるな。

こういう思考法が人生でできるか。

ここが人生の分岐点になる。